2021年8月11日に開幕したReborn-Art Festival 2021-22 夏会期ですが、8月12日に、荻浜のホワイトシェルビーチに展示されている片山真理氏の写真作品1点について、「津波被害を連想させる」というご意見が複数寄せられました。寄せられたご意見について片山氏と協議を行い、本作品を撤去することを決定いたしました。
2016年に香川県直島で地元住民の協力のもと制作されたシリーズのなかの1点である本作品は、それまで義足で生活している自分自身の身体を模した手縫いのオブジェをポートレートに取り込んできた片山氏が、初めて他者の身体をモチーフとして作品に取り込んだ、他者や社会とのつながりをポジティブに表現した力強く、希望に満ちた作品です。
しかしながら、寄せられたご意見について片山氏と協議をおこなった結果、片山氏からは本作品をご覧になった方のお気持ちを尊重し、本作品の撤去を希望する申し出がありました。
制作委員会やキュレーションのチームとしましては、人種、ジェンダーなどの問題、そして東京で開催予定のパラリンピックなど、多様性と調和の重要性を多くの人が感じているなか、荻浜の美しい浜辺に本作品を展示することにより、鑑賞者の皆様が現在の世界や、未来について思いを馳せ、勇気や希望を抱くことの出来る素晴らしい機会だと考え、誇りを持って展示をしておりました。しかし、鑑賞者の「痛み」や「悲しみ」を生んでしまうことは、片山氏と同様、制作委員会やキュレーションチームの望むところではありません。そのような理由から最終的に本作品の撤去を決定するに至りました。
今回主催者側の配慮が足りなかったために、ご意見をいただいた皆様やアーティストの片山真理氏、そして本作品の制作に携わった方々のお気持ちを傷つけてしまったことを心よりお詫び申し上げます。
今後は、震災から10年経った場所でアート作品を展示することの意味を再考していくとともに、様々な想いを感じ取りながら運営していく所存であります。
Reborn-Art Festival実行委員会 事務局