RAF2019 網地島会場の参加アーティスト伊藤存+青木陵子両氏は、網地島で見つけた、古い道具や残っているものを利用したグッズを制作し、それらを販売するお店を作品として発表しました。 作品制作の過程では島民から、家に残っている古い道具を見せてもらったり、ボトルシップなどの船乗りの趣味について教えてもらうなどのリサーチ協力、商品を作るための材料を提供してもらうなど、島の方と様々な形で交流をしました。 そのようにして実施することのできた作品の売り上げの一部(約20万円)を、網地島のために寄付したいという相談が伊藤存+青木陵子両氏からあり、網地島行政区(網地地区、長渡地区)へ寄付することとなりました。
作家コメント:
島に滞在していた時は、足りないものがあれば近所の人が探してきてくれたり、わからないことを教えてくれる人が不思議とどこからかやってきたり、美味しいおやつやお魚をいろんな場所でいただいたりしました。 そのどれもがお金というものが介入されないやりとりで、お金ってやつはなんなんだろうと考えることが多かったプロジェクトでした。そんなわけで、はてさてこのままお金で寄付するので良いのかなあ?と考えている内に、なかなか島へふらりと行けなくなってしまいました。 こんな時でもお金だけは遠くの島まで行くことができるのだな、と今はお金のことを少し羨ましく思います。 島の皆さんのことなので、きっと楽しく使ってくださるだろうなあと想像しています。
伊藤存(いとうぞん)
1971 年 大阪府で生まれる。
2003 年 個展「きんじょのはて」(ワタリウム美術館)開催。2016 年 個展「ふしぎなおどり」(タカ・イシイギャラリー)開催。
青木陵子(あおきりょうこ)
1974 年 兵庫県で生まれる。
2007 年 ドクメンタ 12 に参加。2018 年 個展「三者面談で忘れてる NOTEBOOK」(Take Ninagawa)開催。
伊藤は刺繍の作品をはじめとして、小さな立体、粘土絵などを制作。 青木は動植物や日常の断片、幾何学模様などをイメージの連鎖で描き、その素描を組み合わせたインスタレーションを手がける。 個々に作品制作を行いながら2000 年よりアニメーションを中心とした共同制作も始め、近年では人の心の成長をテーマに数学者の岡潔のエッセイを主軸とした映像インスタレーション「9歳までの境地」を国内外で発表している。